Figma デザインシステムの作り方 — XD からの移行とライブラリ公開・チームテンプレート化
「XD のデザインシステムを Figma に移したあと、すぐにチームメンバーが使える状態になるのか」「6 週間後にボタンを更新したら、その変更は参照しているファイル全部に反映されるのか」「XD のシンボルだったコンポーネントを、Figma のバリアントとしてどう設計し直すか」 — XD → Figma のデザインシステム移行では、変換が終わったあとの運用設計 が移行の成否を分けます。
ファイル変換そのものは最初の一歩で、本番の作業はそのあとに始まります。チーム全体が実際に参照でき、バージョン管理でき、誰の作業も損なわずに更新できる状態に整える工程です。経験のあるデザインシステムマネージャーやエンジニアリングリードなら、身に覚えのある流れだと思います。変換が終わってスタイルとコンポーネントが Figma 側に揃ったところで、公開、更新通知、シンボルからバリアントへの設計変更、といった問題が順番に立ちはだかってきます。
この記事では Figma 公式のライブラリモデル と、移行チームが実際にぶつかる典型パターンをもとに、変換後のファイルを公開済みのチームライブラリとして使える状態にするまでの道筋 を整理します。あわせて、XD ユーザーが意識しづらい Figma 側との間に発生するモデルの差分についても紹介します。
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XD シンボル → Figma コンポーネントのプラグインレベルの変換 については XD コンポーネント / シンボル移行ガイド を、エンドツーエンドのチーム移行プレイブック については XD → Figma 移行プレイブック を参照してください。スタイル移行の挙動 については Figma カラー一括変更 と Figma テキストスタイル一括変更 も合わせて参照できます。本記事は 変換後のライブラリ運用レイヤー にフォーカスします。
📝 イントロダクション — 移行は最初の 1 歩でしかない
XD のデザインシステムは、基本的に ファイル単位 で管理する設計でした。XD ファイル内の Document Library がそのファイルのカラーとテキストスタイルを保持し、ファイル間で共有したいアセットは Creative Cloud Libraries 経由で配布する。多くのチームは、マスターファイルをいくつか用意し、共有 CC Library と組み合わせて運用し、個々のデザイナーがそこから参照する流れでした。
Figma のモデルは、移行で重要になる部分で違っています。スタイルとコンポーネントは Figma ファイルの内部 に存在しますが、他のファイルから利用できるようにするには チームライブラリとして公開する 必要があります。公開後は、同じチーム(権限次第で同じ Organization まで)に属するファイルから参照でき、更新は参照側が受け入れるかどうかを選べる通知として伝わります。XD のように暗黙的に上書きされる挙動とは違います。
本記事のテーマは、変換が終わった あと の作業 — 移行したデザインシステムが実際にデザインシステムとして機能するか、それとも誰も使い方を知らないまま放置されるファイルになるかを決める工程です。
本記事で扱うのは以下のテーマです。
- XD からの引き継ぎ範囲 — 変換ファイルに何が入り、何がハンドオフ作業として残るか
- Figma のライブラリモデル — XD の Document Library + CC Library 構成との違い
- 公開 — 移行したデザインシステムをチームメンバーが参照できる状態にする
- Component swap — XD シンボル由来のコンポーネントをネイティブ Figma コンポーネントに置き換える仕組み
- 共有ワークスペースのパターン — チーム構造に対してデザインシステムをどこに置くか
- 移行後のバージョン管理 — 更新を壊さずに伝えていく仕組み
- 典型的な落とし穴 — デザインシステムマネージャーが実際にぶつかりやすいパターン
🎯 XD から何が引き継がれ、何が引き継がれないか
XD のファイル形式を理解しているコンバーターであれば、いくつかの要素を 1 回の変換作業で Figma に持ち込めます。各要素のプラグインレベルの詳細は専用記事で扱っているため、ここでは変換後のファイルに「何が入ってくるか」の概要だけを並べます。
カラーとグラデーション
XD の Document Library のカラーは、変換ファイル内の Figma ローカルカラースタイル になります。SOLID 系の塗り + α 値はおおむね 1:1 のマッピングで、グラデーションも角度や開始・終了位置を保持して引き継がれます。詳細は XD のカラー・グラデーション変換 を参照してください。
テキストスタイル
XD のテキストスタイルは、フォントファミリー / サイズ / ウェイト / 行間 / 文字間隔を保持したまま Figma ローカルテキストスタイル になります。変換後の整理についての具体は Figma テキストスタイル一括変更 を参照してください。
シンボル → コンポーネント
XD のシンボルは Figma のコンポーネント に変換され、アートボード上のインスタンスはメインコンポーネントを参照する Figma コンポーネントインスタンスになります。コンポーネントオーバーライド(テキスト内容や塗りの差分)も、XD 側のオーバーライドが整合性を保てる範囲で引き継がれます。詳細は XD コンポーネント / シンボル移行ガイド を参照してください。
Component States → バリアント(Variants)
XD の Component States は Figma のバリアント(Variants) にマッピングされます。State 名はバリアントのプロパティ値(例: State=Default / State=Hover / State=Pressed)として展開され、XD プロトタイプ内の State 遷移はバリアント間の Change to アクションに変換されます。プロトタイプ変換レイヤーの詳細は XD プロトタイプを Figma に自動変換 を参照してください。
引き継がれないもの
Figma に同等の概念がないため、きれいに移行できない要素がいくつかあります。
- Repeat Grid — XD の自動繰り返しグリッドレイアウトには Figma に直接対応する機能がなく、個別要素にフラット化される(または、文脈が合えば Auto Layout に変換される)
- 外部 CC Library 参照 — Creative Cloud Library から参照されていたカラー / スタイルは、変換ファイル内のローカルスタイルとして取り込まれます。外部ライブラリへのリンクとしては残りません
- Figma に存在しない XD プロトタイプ設定 — ドラッグ移動距離、Push の方向ニュアンスなど
変換が生成するのはファイルであってライブラリではない
次のステップで重要な前提: 変換が成功しても、その時点で手元にあるのは ローカルスタイルとローカルコンポーネントを含む Figma ファイル です。まだ公開済みライブラリにはなっておらず、他のファイルから参照することもできません。Figma 側で意図的に設けられた、明示的なセットアップ工程です。
📚 Figma ライブラリモデル — published と local の違い
XD のライブラリモデルと Figma のライブラリモデルの違いを理解することが、移行期のデザインシステムマネージャーにとって最も重要な意識の切り替えです。
XD のモデル
XD では、ファイルごとにカラーとテキストスタイルを保持する Document Library がファイル内部にありました。ファイル間で共有するには、CC デスクトップアプリ経由で同期する外部リポジトリ = Creative Cloud Libraries を使い、XD の UI 上にドラッグ可能なアセットとして表示する仕組みでした。
この 2 つのシステムの境界線はわかりやすい構造でした — アセットは CC Library に存在し、各ファイルはそこに リンク し、個々のデザイナーが自分のサブスクリプション範囲を管理します。
Figma のモデル
Figma では、すべてのファイルがローカルスタイル、ローカルコンポーネント、ローカル変数を持てます。そのうち必要な分を チームライブラリとして公開 することで、同じチームに属するファイル(権限次第)が参照できるようになります。
主な違いは以下の通りです。
| 概念 | XD | Figma |
|---|---|---|
| アセットの居場所 | Document Library(ファイル単位)+ CC Library(外部) | ファイル内ローカル、必要に応じてチーム全体に公開 |
| 共有範囲 | ユーザー単位の CC Library サブスクリプション | チームメンバーシップ(権限制御つき) |
| ファイル単位の有効化 | CC Library を購読 | 参照側のファイルでライブラリを有効化 |
| 更新の伝わり方 | CC Library プッシュ(手動同期が多い) | Figma 内の更新通知(受け入れ可否を選択) |
変換ファイルにとって何を意味するか
変換直後、ファイルは ローカルスタイルとローカルコンポーネント を持っているだけの状態です。XD で使っていた「共有ライブラリ」パターンを再現するには、明示的に公開する操作が必要です。この操作を行わない限り、変換後のファイル内でしかスタイルを使えない状態が続きます。
🚀 移行したデザインシステムを公開する
変換ファイルを Figma チームライブラリとして公開することが、移行したデザインシステムをチームメンバーと共有するための工程です。典型的なフローは以下の通りです。
公開前 — 整理工程
変換後のファイルには、デザインシステムだけでなく、それを使っていた画面群も一緒に入っているのが普通です。XD の元ファイルが、デザインシステム定義と画面がひとまとまりになっている構成だったケースが大半だからです。変換後はその構成がそのまま Figma のページとして展開されます。多くのチームは、公開前にデザインシステムに関連する要素を別ファイルへ切り出し、メインとなる画面群は公開済みライブラリを参照する別ファイルとして残す構成を採用します。
公開前に整理しておきたい項目:
- 変換時に補助的に追加された要素を削除する(Figma が構造保持のために作ったフレーム、Pro オプションで生成される変換ノートページなど)
- 重複しているスタイルを統合する(XD が別物として扱っていた、ほぼ同一の 2 つのテキストスタイルなど)
- コンポーネント名を統一する — XD 由来の名前には、バージョン付きや「Copy」サフィックスのような、公開済みライブラリには残したくない要素が混ざっていることがあります
公開操作
ファイル内の Assets パネルには Publish アクションがあり、ファイル内で公開可能な要素が一覧表示されます。Figma で公開できるのは一般的には以下の項目です。
- ローカルスタイル: カラー / テキスト / エフェクト
- ローカルコンポーネント: バリアント含む
- ローカル変数: そのファイル内で使われている場合
Publish をクリックし、任意でリリースノート(参照側ファイルから見える)を書いて確定すると、そのファイルは公開済みライブラリとなり、同じチーム内の他ファイルから有効化できるようになります。
公開可能なもの、公開できないもの
公開対象として扱われる範囲には、いくつか押さえておきたい制約があります。
- 「Hide when publishing」が指定されたアセット(アセットを右クリック → オプション)は、ファイル内でローカル定義されていてもライブラリには含まれません
- 変数 の公開時の扱いはスタイルに近いですが、固有の権限範囲を持ちます
- エフェクト(ドロップシャドウ、ブラー)はエフェクトスタイルとして公開できますが、スタイルとして定義されている場合のみ です。個別シェイプに直接適用された一時的なエフェクトは公開されません
プランごとの権限モデル
公開には有料プランが必要です。Professional、Organization、Enterprise の各プランでライブラリを公開できます。Starter(無料)プランではライブラリを一切公開できません — Starter で作成されたコンポーネントとスタイルは、定義されたファイル内にローカルとして留まります。
移行作業の開始前に公開プランを確認する
チームが Starter プランで、移行計画がチーム全体のライブラリアクセスを前提としている場合、変換作業が完了する前に確認しておきたい重要な要件です。移行中のプランアップグレードは、参照側ファイルがアクセスを得るタイミングを複雑にします。
🔄 XD シンボル由来のコンポーネント差し替え(Component swap)
初回変換のあと、ライブラリファイルには XD シンボル由来のコンポーネントが入っています。時間が経つと、その一部を Figma ネイティブで再設計したコンポーネントに置き換えたい ケースが出てきます — それも、既に使っているファイルを壊さずに、です。
Figma の コンポーネント差し替え(Component swap) 機能がそのための仕組みです。既存のインスタンス(または全インスタンス)を別のメインコンポーネントに向け直すことで、可能な範囲でオーバーライドを保持したまま置き換えられます。
差し替えの仕組み
単一インスタンスの場合、Figma 上で選択して右パネルの Instance メニューから、参照先のメインコンポーネントを変更します。インスタンスは位置とレイアウトコンテキストを保持します。Figma は 新旧コンポーネント間でレイヤー名が一致する場合のみテキストオーバーライドを保持 し、他のオーバーライド(塗り、サイズ調整など)は確実には引き継がれません — 差し替えを跨いでオーバーライドを保持したい場合は、テキストレイヤーをユニークな名前に事前リネームしてください。
一括差し替えのワークフローは状況に応じて変わります。プラグインを使い、ファイル横断で XD 由来コンポーネントの全インスタンスを特定して順次置き換えるチームもあれば、以下のように段階的に進めるチームもあります。
- 新しい Figma ネイティブコンポーネントをライブラリに追加する
- 過渡期として新旧両方を公開する
- 通常のデザイン作業のなかで、ファイル単位でインスタンスを置き換える
- すべての置き換えが完了したら、廃止する旧コンポーネントをライブラリから削除する
なぜ XD からの移行で重要か
XD のシンボルは、Figma バリアントが前提とする構造的な統一性を必ずしも要求しませんでした。そのため、変換後に以下のような状態になっていることがあります。
- 論理的には 1 つのコンポーネントのバリアントにまとめるべき、複数のコンポーネント
- XD ファイル内で命名規則が一貫していなかったため、名前が揺れているコンポーネント
- 1 箇所でしか使われておらず、本来はインライン化したほうがよいコンポーネント
コンポーネント差し替えは、これらを「一気に全部作り直す」プロジェクトに発展させずに、段階的に直していくための仕組みです。
📁 共有ワークスペースのパターン — チームのテンプレートとして配る構成
Figma ワークスペース内のデザインシステムファイルの居場所は、チームメンバーがそれをどう発見し、どう参照するかを規定します。XD 移行後にうまく機能するパターンをいくつか挙げます。
パターン 1: 専用のデザインシステムチーム
「Design System」や「Foundations」のような Figma チームを作り、ライブラリファイルをそこに置きます。他のプロダクトチームは、自分たちのファイルからそのライブラリを有効化します。最も明確な分離になりますが、チーム横断のライブラリ参照には Organization プランが必要です。
パターン 2: プロジェクト単位のライブラリ
ライブラリファイルを、参照側ファイルと同じプロジェクトに置きます。小規模な組織や、単一プロダクトのチームでよく採用されるパターンです。Professional プランで運用でき、デザインシステムをそれを使う作業の近くに配置できます。
パターン 3: 複数の専門ライブラリに分割
Foundations(カラー、テキスト、アイコン)と Components(ボタン、カード、ナビゲーション)を別々のライブラリファイルに分けます。参照側ファイルは両方を有効化します。大規模なシステムでは拡張性が高い一方、公開の管理コストが増えます。
パターンの選択
XD から少人数チーム(10 人未満のデザイナー)として移行したのであれば、通常はパターン 2 で十分です。中規模から大規模のチーム、または複数プロダクト間でデザインシステムを共有するケースでは、パターン 1 のほうが明確な境界を確保できます。パターン 3 は、単一ファイルでは扱いきれないほどスタイルとコンポーネントが増えてきた段階で初めて、管理コストの増加に見合うようになります。
🔁 移行後のバージョン管理
XD と CC Library の組み合わせでは、バージョン管理は主に CC Library をベースとするワークフローで行っていました — マネージャーがライブラリを更新し、同期したタイミングで参照側が新バージョンを取得する。Figma のモデルはより明示的で、参照側がより細かく制御できます。
更新の伝わり方
Figma ライブラリへの変更を公開すると、それを参照しているファイルには ライブラリ更新通知(Library updates) が表示されます。参照側のデザイナーがそれを開き、差分(追加 / 変更 / 削除)を確認し、各変更を受け入れるかどうかを選びます。
通常は以下の選択肢から選ぶ形になります。
- すべて受け入れる — このファイルにすべての変更を反映する
- 選択して受け入れる — 一部を受け入れ、残りは後回しにする
- 今は無視する — 既存のローカルインスタンスをそのまま残す
なぜ移行後に重要か
移行直後は、デザインシステムが最も流動的・不安定になる時期です — 変換結果の不整合に気づき、スタイルを統合する必要が出てきたり、コンポーネントをリネームしたり、変換時には見えなかった細部を修正したりします。これらは一つひとつが、参照側ファイルが取り込むべきライブラリ更新になります。
実運用でうまく機能するアプローチをいくつか挙げます。
- 最初の 1 ヶ月は変更をまとめて公開する — 小さな修正を都度公開せず、リリースノートを明記して週単位の公開にまとめる
- 大きな変更は事前に予告する — コンポーネントを削除する場合、参照側に 1〜2 週間の猶予を与える
- 過渡期は旧バージョンを併存させる — コンポーネント差し替えを活用して、参照側ファイルが自分のペースで移行できるようにする
廃止の進め方
Figma ネイティブの代替を構築済みで、XD 由来コンポーネントを削除したい場合、最も安全な進め方は以下です。
- 旧コンポーネントを deprecated として明示する(リネーム + 説明欄に警告を追加)
- 過渡期として新旧両方を公開しておく
- 通常のデザイン作業のなかで、参照側ファイルのインスタンスを順次置き換える
- 把握している参照元がすべて移行を終えたら、deprecated にしたコンポーネントをライブラリから削除する
「一度に作り直して全員に更新を強制する」よりは遅いですが、スプリント途中で壊れたファイルが出てチームを混乱させることもありません。
⚠️ 移行で陥りがちな落とし穴
XD → Figma のデザインシステム移行で多くのチームが直面してきたよくある失敗パターンをいくつか紹介します。
1. 変換ファイルをそのまま公開する
変換後のファイルには、デザインシステムと、それを使う画面群がひとまとめとなっているのが普通です。これをそのままライブラリとして公開すると、本来コンポーネントとして登場すべきではない画面レベルのフレームまでアセット一覧に並んでしまい、ノイズが多くなります。公開前にデザインシステムに関連する要素を別ファイルへ切り出すことをお奨めします。
2. ローカルスタイルを公開済みスタイルと誤認する
変換直後のファイル内のスタイルは ローカル であって、公開済みではありません。チームメンバーが別のファイルを開いてデザインシステムのスタイルを探しても、公開とライブラリの有効化が済むまでは表示されません。公開操作が実際に行われたかを必ず確認してください。
3. コンポーネント命名の不整合
XD のシンボル名には、Figma のコンポーネント / バリアントモデルに馴染まない命名規則が含まれていることがあります。Button — Primary と Button — Secondary のようなコンポーネント群は、State=Primary|Secondary バリアントを持つ単一の Button コンポーネントに再構成するほうが適切です。変換ツール側でこれを自動的に判別することはできません — デザインシステムマネージャーの判断ポイントです。
4. 公開範囲の誤認
Starter(無料)プランではライブラリを一切公開できません — ローカルスタイルとローカルコンポーネントは、定義されたファイル内にとどまります。何らかの形でライブラリ共有を計画しているチームは、最低でも Professional プラン(チーム横断で参照させたい場合は Organization)が必要です。ワークスペース構成を決める前に確認してください。
5. オートセーブとバージョン管理の差を見落とす
XD には明示的な「Save」操作があり、ファイル履歴は Adobe 側が管理していました。Figma は連続的にオートセーブし、バージョン履歴も自動で記録します — ただしライブラリ公開は明示的な操作です。XD から来たデザイナーが「公開も自動で行われる」と誤解するケースがあります。実際には自動では行われません。
6. 更新通知を無視する
Figma では、ライブラリ更新は参照側ファイルで 受け入れ可否を選べる通知 として現れます。デザイナーが数週間無視し続けると、そのファイルはデザインシステムから乖離していきます。参照側がどのくらいの頻度で更新を受け入れるか、チーム内のルールを決めておいてください。
✅ チェックリストと FAQ
移行前
- ✅ XD デザインシステムの構造をドキュメント化(どのシンボル / スタイル / State が存在するか)
- ✅ Figma チーム / プロジェクト構造を決定(どのワークスペースパターンか)
- ✅ Figma プランの確認(チームライブラリの参照には Professional / Organization が必要)
- ✅ 変換ツールを選定し、小規模 XD ファイルで動作確認
変換直後
- ✅ 変換時に追加された要素の確認(補助フレーム、変換ノートページなど)
- ✅ ライブラリ要素を別ファイルに切り出し(画面群と分離)
- ✅ スタイル統合パス(変換が推論できなかった重複をマージ)
- ✅ コンポーネント命名を Figma の規約に揃える
公開前
- ✅ ファイルをページ構成に整理(例: foundations / components / patterns)
- ✅ 非公開 / プライベートレイヤーを適切にマーク
- ✅ 初回公開向けのリリースノートを準備
- ✅ チームメンバーシップと権限を検証
公開後
- ✅ 参照側ファイルでライブラリを有効化
- ✅ スタイルとコンポーネントが参照側ファイルに表示されるかを抜き取りで確認
- ✅ ライブラリ更新の公開リズムを定着(週次公開、変更をまとめる)
- ✅ XD 由来コンポーネントの廃止ポリシーをドキュメント化
Figma Communityから1クリックで追加できます
FAQ
Q1. ライブラリを公開するには Figma の有料プランが必要ですか?
はい — Starter(無料)プランではライブラリを一切公開できません。何かをライブラリとして公開するには、最低でも Professional プランが必要です。Organization 全体でチーム横断のライブラリ共有を行う場合は、Organization または Enterprise プランが必要です。
Q2. 変換ファイルの一部だけをライブラリとして公開できますか?
はい — Figma の公開フローでは、どのローカルスタイル / コンポーネントを公開するかを選択できます。非公開ページや、プライベートとしてマークされたレイヤーはライブラリに含まれません。ただし、ほとんどのチームは公開前にデザインシステムに関連する要素を別ファイルへ切り出すほうが管理しやすいと感じています。
Q3. ライブラリを更新したとき、既存ファイルはどうなりますか?
参照側ファイルにはライブラリ更新通知が表示され、何が変更されたかが提示されます。それぞれのファイルのデザイナーが、各変更を受け入れるかどうかを選びます。自動的に上書きされることはありません。
Q4. 1 つのデザインシステムを複数のライブラリに分けられますか?
はい、実運用でもよく見られる構成です。Foundations(カラー / テキスト / アイコン)と Components(ボタン / カード / ナビゲーション)の分割は、大規模システムで拡張性を確保しやすい一般的なパターンです。
Q5. 古い XD 由来コンポーネントをどう廃止しますか?
deprecated を示すようにリネームし、過渡期として新旧両方を公開し、通常のデザイン作業のなかで参照側ファイルのインスタンスを置き換え、把握している参照元がすべて移行を終えた段階で、deprecated コンポーネントをライブラリから削除します。
Q6. 変数(Variables)は XD から移行されますか?
XD には Figma の変数に直接対応する機能がありませんでした。変換はカラーとテキストスタイルを引き継ぎますが、変数を使いたい場合は、通常、移行後に Figma 側で構築することになります。既存のカラースタイルは、チームの準備が整った段階で変数へ昇格させることが多いです。
Q7. 移行後、ライブラリが安定するまでにはどのくらいかかりますか?
実運用では、初回変換のあと数週間は活発な変更が続くのが一般的です — スタイル統合、コンポーネントのリネーム、不整合の修正、XD 由来コンポーネントの Figma ネイティブへの置き換えなど。変更を週次公開にまとめることで、参照側ファイルが情報過多に陥らないようにできます。
Q8. Figma のデザインシステムはゼロから作るべきですか?それとも XD 資産から作るべきですか?
XD に成熟したデザインシステムがあるなら、変換して土台にするほうが速く立ち上がります。コンポーネント構成・カラー・テキストスタイルといった「決定済みの設計資産」を作り直すのは純粋な重複作業だからです。一方、命名規約や Auto Layout / Variants の活用といった Figma 流の運用ルールは移行後に整えるのが現実的で、本記事のフロー(変換 → 切り出し → 公開 → チームテンプレート化)はまさにその段取りです。XD 側に再利用できる資産がない場合は、Figma Community のデザインシステムテンプレートから始める選択肢もあります。
🎯 まとめ
XD のデザインシステムを Figma に移植する作業は、別々の 2 つのプロジェクトを紡ぎ合わせる工程です — 変換そのもの(Pixel Fine Converter のようなツールがファイル形式の翻訳を担う)と、そのあとのライブラリ運用作業(デザインシステムマネージャーが変換結果をチームが実際に参照できる形に整える)。
移行の成否を分けるのは、ライブラリ運用側の作業です。変換しただけで公開されなかったファイルは、誰も使い方を知らないまま放置されます。構造を整理せずに公開されたファイルは、ノイズが多く参照しづらくなります。うまく機能するパターンは、結局のところ入念に準備された段取りに尽きます。
- XD のファイル形式を理解しているツールで XD ファイルを変換する
- デザインシステムに関連する要素を別ファイルに切り出す
- 変換ツールが判別できなかった重複と不整合を整理する
- ワークスペース構造に合った権限設定でチームライブラリとして公開する
- 更新と廃止のサイクルを定着させる
これらは XD 移行に固有の話ではありません — Figma のライブラリ運用全般に共通する内容です。ただし XD 移行は、ライブラリ運用の作業を時間をかけて積み上げるのではなく、移行のタイミングで一気に表面化させる傾向があるため、明示的な計画があると進めやすくなります。
判断ガイド
- 単一プロダクトを移行する小規模チーム → パターン 2(プロジェクト単位のライブラリ)、Professional プラン、単一ライブラリファイル
- 中規模から大規模のチーム、または複数プロダクト間の移行 → パターン 1(専用のデザインシステムチーム)、Organization プラン、システムが安定してきたらパターン 3(ライブラリ分割)を検討
- 既に Figma を使っているチーム → 移行ライブラリと既存の Figma 資産を調整し、別系統のシステムが並行して走らないようにする
XD から Figma への移行で本質的に重要なのは、変換そのものよりも、チームライブラリ中心のモデルでデザインシステムを長期的に運用できる状態を作る ことです。ライブラリが公開され、参照側ファイルが安定した更新サイクルに乗ったあとは、残りの移行作業はおおむね経験したことのある運用作業に収束していきます。
Figma Communityから1クリックで追加できます
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- Figma カラー一括変更 — 移行後のスタイル統合
- Figma テキストスタイル一括変更 — テキストスタイル運用の実装
- XD のカラー・グラデーション変換 — カラー変換の詳細
- XD プロトタイプを Figma に自動変換 — プロトタイプと Component States の変換
- XD アートボード → Figma フレーム — アートボードレベルのマッピング
- Features: Components — シンボル → コンポーネント変換機能